ドラゴンズファン12年生

●野球に無縁→パートナーの影響でいつの間にかドラゴンズファンへ…東京からドラゴンズな日々を綴ります

どんな気持ちで根尾の登板を見たらいいのだろう

(文春野球フレッシュオールスター応募作:7/3に書いたものです)

 

 

根尾昂、投手転向。


6/14、そのニュースはドラゴンズファンのみならず、他球団ファンも巻き込んで駆け巡った。「根尾の投手組練習初日に密着」の球団You tubeは公開から16時間の時点で12万回再生。その4時間前の動画が1.1万回だったことからも、事の大きさが分かる。

シーズン当初は外野手登録。4/20日にようやく今季初ヒット、即一軍登録抹消。どういうこと?と戸惑っていたらショートへの再コンバート発表。そりゃ、外野の枠は詰まっているけど。


「一年間ショートで出続ける体力があるのは京田」京田を使い続けるのかと思いきや。
「京田にライバルらしいライバルもいないしね」根尾を競わせるのか。
(ならば見守ろう)あの時は思った。それから“戦う顔をしていない”京田の二軍への強制送還。

 

2人のショート争いは立ち消えたまま、根尾は投手へ転向した。

 

5/21、マツダスタジアム。10-1とカープが大量リード。
根尾が一軍で初登板した。その日は30分ほど遅れながら録画を追いかけていた。LINEに飛び交うメッセージ。「根尾、出るんじゃないか?」思わずすっ飛ばしてリアルタイムに切り替える。

それより前、甲子園の二軍戦で投げたことは勿論知っていた。悩める根尾のリフレッシュ、と驚きはしたが納得はした。相手チームはやりづらいのでは?根尾の登板で機会が減ってしまったかもしれない他の投手の立場は?引っかかるものはあったけれど。

 

実況は何も言わない。TV越しでも歓声だけで充分だ。小さく帽子を一度脱ぎ、マウンドに駆けていく。


満を持して「…根尾の、登場です」


聖地で原点を見つめ直すのとは違う。ストレートの球速自体150キロを超えてはいたけれど、良い当たりで打ち返されていた。試合後に「今後こういう展開で投げることもあるかもしれない」と監督は語っていた。

 

こういう展開。敗戦処理。


もやもやした。一軍で投げたら賛否両論になるなんて覚悟の上だった筈。大差の負け試合だったから試せたのか。そんな時がいつ来るかわからないのに。一年かけて考えていく。今さら?もやもやは止まらない。やるせなくてTwitterに吐き出す。

 

「複雑。広島戦で初めて一軍登板したときモヤっとしたのは…投手転向を視野に入れずに、話題作りみたいなことするなんて、という思い。見据えて、きちんと準備して、根尾も納得してやっていたなら良い。やるなら2軍で鍛えてほしい。何より本人の言葉を聞きたい。」

 

「真面目に投手として使っていくことにした」と思わないと納得しづらかった。

そして結局、投手転向のニュース。


正式に発表されてから、初めての登板は6/19の巨人戦だった。

複雑な思いで録画を再生する。日曜日のリアルタイムでは見られずに、火曜日の昼間。一人で見たい気分だった。子どもは学校に行き、夫は出勤したあとの誰も居ないリビング。結果は知っている。知るつもりはなくてもSNSで、ネットニュースで、テレビの週末のバズったワードランキングやらで、ここ東京にいてドラゴンズ応援のローカル番組がなくても入ってくる。

松坂大輔がドラゴンズに来た頃を思い出した。メディアはこうも一挙手一投足を追うのか。


スターだから。

 

外野の岡林、鵜飼、アリエルらの台頭。高い壁大島。外せない好調なセカンド、マスター阿部。一年使い切ると決めたサード石川昂弥。京田は2軍。ならば高橋周平をショートへ?しかし石川が靭帯を傷め戦線離脱、周平がサード。三ツ俣や溝脇がショートを争う中、京田は戻って来た。玉突き式にスタメンを埋めるかに見えた中、根尾は弾き出された。

 

飛び交う投手根尾へのメッセージ。OBはYou Tubeにあげ、ファンはTwitterに呟き、野手根尾の選手登録のスクショを撮り、ブログに書いた。誰もが語りたかった。その中でタイムラインに流れてきた
「ある意味野手の戦力外」
というつぶやき。思った以上に衝撃を受けた。

多分、うっすら感じていた。でも、言葉にしづらかった。


巨人戦。9回の表、岡本対根尾の勝負。真っ昼間、一人きりのリビングで何故だか泣いた。
「空振り三振!」ストレートで岡本を三振に斬ってとる。9回の裏、周平はホームランを放つ。
根尾が空気を変えた。
でも、どんな気持ちで見たら良いのかわからない。


根尾はどうしたいのか。そもそも、どうしたいとか言えるのか。言えるのがドラフト1位というものなのか。でも大成しなかったドラ1だってザラにいる。

マツダの時点では怒りが勝っていた。投手にさせるつもりもないのに一軍で投げさせるのか?
その考えは間違いだった。だからってすぐには喜べなかった。思い起こせばキャンプで、岡林、鵜飼、石川昂弥と並んでブルペンに入っていた。少しずつ何かが動き始めていたのだ、と後からわかった。

 

6/25、阪神戦。2軍戦で投げて以来の甲子園で初失点した根尾。
7/1、こんなにも早く?勝ち試合での登板。
7/2、初の連投。


これから、何にでも“初の”がついて回るのだろう。

2軍で実戦経験を詰めばいいのに、という素人考えは拭えない。ただ、2軍で無双して1軍に来た途端勢いが消えることはある。2軍と1軍の間にある壁を、既に充分感じているなら。見たことのある階段の上り方や速さとは違うけれど、辿り着ける場所があるのかもしれない。

 

「僕は僕なので」。

 

聞きたい事を言ってくれているのかもしれない。見る方も信じたいものだけを選んで、見ているだけかもしれない。こちらに伝わる以上のものが、きっとあるのだろう。

 

でも、マウンドに立つ根尾の姿に、嘘はないはずだ。
少しずつ、心を落ち着けて見られるようになってきた。

6/21のYou tubeにアップされた、キャンプでの登板時の未公開映像。ブルペンで投げ終わり一言、「楽しかったです、以上です!」の、笑顔。

 

あんな風に笑う根尾を見たい。そして、私も笑って根尾を見たい。
もっともっと、良い場面で投げる時が来るまで、今は応援するのみだ。

 

 

 


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コラムの応募締め切りは7/3、送ったのもその日でした。「勝ち試合で見たい」と終えようという時にまさかの登板。全く0からというより、野球仲間とのメッセージのやりとり、このブログでまとまらないままに綴った気持ちやツイートをギュッと勢いで固めて書きました。ブログを読んで下さっている方は被る内容もあるかもしれません。もうこんなテンションでは書けないでしょう。

根尾が投げる度に(これで良かったのだ)と納得しつつあります。

が、再び最終日に向けてまた、緊張感が出てきた今です。

 

参考:
■立浪監督「京田しかいない」打率1割”未満”にも信頼不変「自分で打破するしかない」
https://www.chunichi.co.jp/article/448645
■根尾昂はショートに再コンバート 立浪監督が直接伝える「京田にライバルらしいライバルもいないのでね」
https://www.chunichi.co.jp/article/457214
■【中日・立浪監督に聞く】根尾の今後に「これから色んなことを考えないといけない。今年1年」
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/05/21/kiji/20220521s00001173536000c.html
■根尾尾「よしやるか」投手登録へ率直な思い    過去の成功例多くなくても「僕は僕なので」
https://www.chunichi.co.jp/article/489870

■根尾昂 選手が本拠地初登板を振り返る!奇しくも同じ日に実現した同級生対決については… #Dragons_Inside
https://www.youtube.com/watch?v=E4W-Y710Pdw&list=PLCAaqXtdzvv982lZldxa7wzPB2yk2uCEi&index=31(最後にキャンプの未公開映像)

 

※7/29時点では投手組初日の動画:398,095回、9/27には41万回超とずば抜けた再生回数。

ですが、一つ前の動画の「翔平さんの名言」も◎